日本の緑茶と言えばその多くが蒸して作る「煎茶」です。一方釜炒り茶はその名の通り、釜で炒って作られ、釜香(かまこう)という釜炒り茶特有の芳ばしい香りと黄金色の水色が特徴です。かつては日本のあちこちでさかんに作られていた釜炒り茶ですが、近代化の中で生産性の高い蒸し茶にとって代わられ、みるみるその姿を消していきました。つまり今も残る釜炒り茶は、そんな流れの中にあっても静かに綿々と作り続けてきた農家があるからこそ残っている、貴重なお茶だと言うことができます。
在来茶はその土地に元々自生しているお茶のことで、品種登録をされていないお茶です。九州に在来茶が多く残っていて、離島の対馬でも至る所に自生しているお茶が見られます。対馬にはかつて木庭作(こばさく)と呼ばれる伝統的な野焼きが盛んでしたが、先代によると野焼きの後真っ先に生えてくる木と言えばお茶の木だったということで、大変生命力の強い木です。