June 03, 2022

お茶シーズンも終盤の当園です。
繁忙期真っ最中、ユウジロウさんが「ちょっと涅槃に行ってきます」と言い出した時はどうしようかと思った事務員Sです。
(ちょっと仮眠に行ってくる、と言いたかったと分かり一安心)

夏も近づく八十八夜~…から早ひと月、二十四節季は小満、というかあと少しで芒種に変わる時期です。
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という有名な歌もこの季節のもの。
対馬でもホトトギスの声が良く聞こえるようになりました。
現在の5月にあたる旧暦4月(卯月)には「木の葉採り月」という異名もあるそうです。
この「木の葉」は蚕の餌になるクワの葉の事ですが、同じく木の葉を採る茶摘みも最盛期。
この季節は事務員も加工メンバーも総出で茶摘みに勤しみます。

手摘み

こちらは手摘みの最中です。
割と近くに聞こえるオオルリやキビタキの声にソワソワしながらひたすら摘んでいきます。

お茶の新芽はとってもデリケート。
収穫には対馬で「テボ」と呼ばれる通気性の良い竹かごを使います。
熱に弱いので摘み取ったら手の熱が移らないうちになるべく早く小テボに入れ、重なりすぎないようにある程度の量が貯まったら大きなテボへ。

テボの中のお茶

そうこうしている間にも発酵が進んでしまうため、集めた茶葉はなるべく早く次の工程へ。
その後の萎凋や発酵(紅茶の場合)、揉捻の加減に乾燥の具合等はその日の気候によって仕上がりの時間が左右されるデリケートな工程で、特に茶師2名は息つく間もなく動き続けます(そして冒頭の発言。本当にお疲れ様です…)

釜炒り

生葉をお茶に加工すると、仕上がりは四分の一程度の量になると言われています。1キロ摘んでも仕上がりは250g、対馬紅茶リーフ40gに換算すると6袋とちょっとにしかなりません。
お茶の樹の中でも一番おいしくて柔らかい新芽だけを摘み、手間暇かけて僅かな量を仕上げるお茶は、本当に贅沢な飲み物だなぁと改めて感じます。
毎日感謝して、ちょっとの茶葉もこぼさず美味しくいただきたいです。

お茶殻もいろいろな活用方法がありますので、興味のある方は是非最後まで使い切ってみてくださいね。
今年はお茶殻を使った染め物にも挑戦できたら…と妄想中です。

そんな訳で、もうすぐ新茶の季節です。
荒茶は出来ていますが、製品にするための工程がもう少し残っています。
2022年のお茶の販売までもうしばらくお待ちください。

紅茶の中でも美味しいとされる「シルバーチップ」、美味しいお茶の証とされる「淹れたときに浮くホコリ状の毛」について。
製茶前のシルバーチップは新芽の芯の部分です。

シルバーチップ

お茶に限らず植物の新芽は弱く、紫外線や気温の変化から身を守るために様々な工夫をしています。
お茶の場合は産毛を身に纏っており、これが乾燥するとキラキラ輝くシルバーチップに、抽出すると抜けた産毛がホコリのように浮いてくる、という仕組みです。
茶樹以外にも、新芽の頃は赤い色のもの、蝋でコーティングされているもの等々、植物たちは様々な方法で生まれたばかりの大事な葉を守っています。

シルバーチップは手摘みのお茶に多く入っています。

丁寧に作られた手摘みのお茶を楽しみながら、植物たちの生存戦略に思いを馳せてみるのも楽しいですよ♪



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